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Q&A 「よくある質問とその答え」をまとめてみました。

土地価格について

Q 土地価格が公的に評価されていると聞きましたが、それはどのようなものなのですか。

公的な地価評価の制度として、次の四つが挙げられます。

①一般の土地取引の指標となる地価公示標準地(3月に発表:国が主宰)

②地価公示を補完する地価調査基準地(9月に発表:都道府県が主宰)

③相続税・贈与税課税のための路線価(8月に発表:国が主宰)

④固定資産税課税のための標準宅地(発表はないが市町村の税務課窓口で閲覧できる:市町村が主宰)

②の判定の基準日(価格時点)は7月1日ですが、他は全て1月1日で、3年毎に評価される④以外は毎年評価されております。価格水準は、地価公示標準地と地価調査基準地を100とすれば、路線価は80、固定資産標準宅地は70程度とされています。

ところで、土地には間口の広狭、角地、形状の違い等個性があり、同じ土地はこの世に二つとありません。つまり、個性の違う土地の数だけ土地価格があり複雑です。このため、標準地等はその形状等の個性が中庸(標準的)であるものの中から選ばれ、他の土地との比較が容易に出来るように配慮されています。また、標準地上に存する建物はないものとして、更地としての価格を求めています。ですから、価格を調べたい土地がある場合、その土地に類似する標準地等との位置、地積、環境等を比較することによって価格のおおまかな目安を付けることが出来ます。マイホームをご購入される際には是非、公示標準地等を活用してください。公示地等の情報は、埼玉県不動産鑑定士協会、国土交通省、国税局等のホームページで入手できます。

Q 最近の埼玉県の地価の動きはどうなっているのでしょうか。

その他、詳しくはこちらの資料のP49~P54をご覧ください。
http://tochi.mlit.go.jp/chika/kouji/2017/pdf/53.pdf

Q 土地価格の目安を知る方法がありますか?

土地価格の目安を知るための方法としては、公示価格や都道府県地価調査を利用する方法があります。公示価格は、毎年1月1日を基準日として国土交通省が定めた標準地(公示地)の価格を発表しているものです。これらの発表に際しては、公示地や基準地の所在・地番とともに、その土地の諸条件(地積、前面道路の状況、駅への距離、都市計画法の制限、周辺の利用状況等)も発表されます。価格を知りたい土地とこの公示地や基準地の諸条件を比較することにより、ある程度土地の価格を知ることが可能です。たとえば、「この土地は、公示地と比較して駅へ近いので公示価格より高いだろう」とか、「基準地と比較して道路が悪い(幅が狭い、行き止まり、未舗装など)から地価調査価格より安いだろう」などという具合です。また、この比較に際しては、公示価格や地価調査価格との時間差も考える必要があります。適性な価格については、不動産鑑定士にご相談ください。

Q 不動産の価格はどのように決めるのですか?

不動産の価格は一般の商品やサービスと同様、市場の需要と供給により決められます。しかし、不動産を売買してみなければ価格がわからないとなると、社会経済上、多大な不利益が発生してしまいます。
そこで、不動産鑑定士は合理的な市場になり代わって理論的に価格を判定しています。
一般的には、不動産の価格形成の特徴に即して、
(1)原価方式
(2)比較方式
(3)収益方式
の三方式を併用して判定します。

(1)の原価方式は、対象不動産を新たに調達する場合の費用から、建物であれば経年等の減価額を控除して価格に接近する方法です。
(2)の比較方式は、付近で実際に売買された不動産の取引価格に街路・駅距離等の比較を行って、対象不動産の価格に接近する方法です。
(3)の収益方式は、対象不動産を賃貸した場合に得られる純収益を利回りで割り戻して価格に接近する方法です。最近話題の「DCF法」もこの収益方式になります。
収益性を重視して市場が形成される商業地においては、(3)の収益方式に重点を置いて価格を決定します。

これらの方式により求められた試算価格について、不動産の特性や実際の需要者の行動原理等を勘案し、規範性や説得力の差異に応じて価格のウエイト付けを行い、最終的な鑑定評価額を決定します。

自宅用の土地について

Q 現在自宅用の土地を探していますが、市の公報を見ていたところ「保留地の公売」という記事が目に留まりました。希望条件に合っており興味があるのですが、保留地とはどういうものなのでしょうか。

保留地とは土地区画整理事業によって生み出される土地のことをいいます。

土地区画整理事業とは土地区画整理法に基づき、都市計画区域内の土地について、道路や公園等の公共施設の整備改善及び宅地の利用増進を図るために行う土地の区画形質の変更や公共施設の整備に関する事業のことで、わかりやすくいいますと、道路の本数が少なくまた道幅も狭いような地域について、通行の便を良くするためあるいは不整形な土地の形を整えて土地を有効に利用できるようにするため、道路を新しく作って適切に配置したり、環境を良くするため公園を設けたりというようなことが行われます。

土地区画整理事業により地域内の土地の価値は高まりますので、受益者負担の考え方から土地の所有者から土地を少しづつ提供してもらう(これを減歩といいます)のが一般的です。

そして減歩された土地は新設される道路や公園用地等として利用されるほか、事業費に充てるため一般に売却されることが多いのですが、この売却される土地が保留地です。

売り出し価格の設定は市町村等の事業施行者が不動産鑑定士の意見等を参考にして行うことが多いようですが、保留地については所有権の移転登記が事業完了まで行えない等一般の土地とは異なる点がありますので、詳細については市町村役場の区画整理担当課や土地区画整理事務所へお問い合わせ下さい。

Q マイホーム購入のために土地を探していますが、前面道路について注意すべき点を教えて下さい。マイホ-ムの購入を計画しています。家が建てられない土地があると聞いたのですが、購入に際しどのような点に注意したら良いのでしょうか?

住宅を建築する場合の前面道路に関する注意点は次の通りです。

①建築基準法では原則として建築物の敷地は道路に2m以上接していなければならないとされています。したがって、住宅建築を考えている場合には敷地が道路に2m以上接していることが必要になります。ただし、この道路とは建築基準法上の道路(道路法上の道路等であり、幅員4m以上のもの)ということになります。

②前記①より、建築物の敷地は幅員4m以上の道路に接していることが必要ですが、例外として幅員4m未満の場合でも、現に建築物が建ち並んでいて特定行政庁(市町など)が指定した道路については、建築基準法上の道路とみなされます。ただし、この場合には、原則として道路の中心線から2m後退した線が道路の境界線ということになります。したがって、敷地後退した部分には住宅を建てることはできず、また、敷地面積に含めることもできません。

主要な注意点の原則は上記の通りですが、ほかにも様々な注意点がありますので、詳しくは各市町村の担当窓口又は不動産鑑定士にご相談下さい。

Q マイホ-ムの購入を計画しています。家が建てられない土地があると聞いたのですが、購入に際しどのような点に注意したら良いのでしょうか?

新築の建て売り住宅購入する場合は、開発業者が物理的及び行政的条件をクリアし、建築した後に販売しているため、建て替え等に問題が起こることは少ないと思います。しかし、更地を購入し家を建てる場合や将来建て替えを計画し、中古住宅を購入する場合は(再)建築の可否について注意を要します。土地等を購入する際には次の点に特に注意しましょう。

①建築基準法上の道路に2m以上接しているか。道路は、色々な法律で定義されていますが、建物を建てるために必要な道路が同法の道路で、基本的には4m以上の道路幅が必要です。
②都市計画法の市街化区域か市街化調整区域か。市街化区域は、市街化を促進する区域で、特別な場所で住宅が建てられない地域もありますが原則として建物は建築できます。市街化調整区域は市街化を抑制する区域で、農地等家が建てられない土地があります。
③その他 高圧線の線下で建築不可の契約がある場合、都市計画道路予定地ですでに事業が開始している場合、土地区画整理地内で暫定的に建築不可の場合、傾斜地で宅地造成法の適用がある場合等、原則として建物が建てられない土地があります。

以上概略を列記しましたが、マイホ-ム購入は一生の問題なので不安な場合、専門家に相談することをお勧めします。

Q 自宅(土地A)に隣接する図のような15坪程の細長い空地(土地B)を買う場合の価格について教えてください?(なお、周辺の相場は坪30万程です)

①土地Bは単独では建物の建築は無理であり、駐車場として利用程度ですので、価格は300万円(坪20万円)程度と判断します。
②土地AはBの空地を買い増すことにより、間口も広くなり、形も整形になって、価値が一段と上がります。AとBを一体とした土地の価格は相場からみて30万円×50坪=1500万円程度と判断します。
③一方、土地Aは単独では間口も狭く、不整形で市場価値も劣ります。相場から見て20万×35坪=700万円程度と判断します。従って土地BはAからみれば②-③で800万円で買っても採算が合うと考えられます。
④土地Bの価格はこのように、300万から800万円までと大きな差がありますが、Bの土地がどうしても欲しいときには800万円(相場2.7倍)でも妥当な価格と考えられます。

Q 自宅を改築したいのですが、敷地の接する道路が、建築基準法上の道路に該当していません。何か手だてはないものでしょうか?

建築基準法では、都市計画区域及び準都市計画区域における建築物の敷地は、建築基準法上の道路に2m以上接面する必要ありとされます。

しかし、この接道規定には救済措置の用意があり、次の①から③のいずれかに該当する場合、建築等の許可(同法43条1項但し書の許可)を受けられる可能性があります。

①敷地の周囲に公園、緑地、広場等の広い空地がある場合。
②敷地が農道その他これに類する公共の用に供する道で幅員4m以上のものに2m以上接している場合。
③敷地が、建築物の用途(住宅に限る)、規模、位置及び構造に応じ、避難及び通行の安全等の目的を達するために十分な幅員を有する通路に接している場合(現況幅員1.8m以上で将来の4m以上の拡幅が担保されたもの)。

Q 競売物件でマイホームを買いたいのですが、どういう点に注意したらよいですか?

最近は専門の買い取り業者以外に一般の方も多数競売に参加しているようです。しかし、競売には一般の不動産取引とは異なった特殊性があります。それは、

(1)所有者の意思に反して国が強制的に換価する手続きが競売制度なので、当然のことながら所有者の協力が得にくく、そのため、建物の内部状況が確認できないなど、物件調査が十分にできない。
(2)抵当権設定前からの賃借人には明け渡しの請求ができません。また、抵当権設定後の競売手続き開始前からの賃借人には明け渡しの猶予期間(買受時から6ヶ月)があります(その間の賃料相当は請求できます)。
(3)競売の執行妨害を目的とする占有者がいる場合、買受人は心理的な不安を感じることがあります。
(4)マンションを競落した場合など、前所有者が滞納していた管理費等を引き継ぐことがある。
などがあげられます。

裁判所に行くと「三点セット」と呼ばれる「物件明細書」(物件の権利関係等の記載)、「現況調査報告書」(物件の状況等の記載)、「評価書」(物件の評価額等の記載)が備え置かれているので、これらを十分に調べ納得したうえで競売に参加することが大切です。

Q 譲渡後の分家住宅の増改築は可能ですか?

譲渡後の分家住宅の増改築等については、一定条件を満たしていれば許可が受けられる可能性があります。
詳しくは、お近くの建築安全センター又は各市町村にお問い合わせ下さい。

固定資産税、相続税、消費税

Q 土地の固定資産税評価額はどのように決まっているのでしょうか。

固定資産税は、毎年1月1日に、土地、家屋、償却資産を所有している人がその固定資産の価格をもとに算定された税額をその固定資産の所在する市町村(東京都特別区の場合は都)に納める税金です。固定資産の評価は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて行われ、市町村長がその価格を決定します。

土地については、固定資産評価基準によって、地目別に定められた評価方法により評価します。なお、固定資産税の評価上の地目は、登記上の地目にかかわりなく、その年の1月1日の現況の地目によります。

土地の価格(評価額)は、固定資産評価基準に基づき、売買実例価額をもとに算定した正常売買価格を基礎として求めますが、宅地の正常売買価格については、地価公示価格、都道府県地価調査価格、不動産鑑定士による鑑定評価価格を活用して求めます。宅地の評価は、平成6年度の評価替えから、地価公示価格の7割を目途に均衡化・適正化を図っています。

Q 不動産の消費税について教えてください。

不動産を売買する場合においては、土地は消費税の課税対象となりませんが、建物は課税対象となります(ただし、個人が所有する建物を売買する場合等を除く)。一方、アパ-トや駐車場といった不動産を賃貸する場合においては、次のとおりとなります。

①アパ-トの家賃は居住用なので消費税の課税対象となりませんが、店舗・事務所等の家賃は事業用なので課税対象となります。

②月極駐車場の駐車料金については、フェンスの設置、地面の整備、利用者ごとに区画がなされている等、その駐車場が「施設の利用」に該当すると、消費税の課税対象となります。

③アパ-トと同一敷地内の駐車場については、戸数分の駐車場が確保されているか、入居者のみの使用か、駐車料金を家賃に含めるか、それとも別途徴収するか等によって異なってきます。少なくとも、駐車料金を別途徴収する場合は消費税の課税対象となると考えます。駐車場の消費税についてはその解釈が難しいので、実際の案件については地元の税務署に相談することをお勧めします。

Q 地価公示、地価調査、相続税路線価、固定資産税評価はどう違いますか?

土地基本法という法律により、国は土地の正常な価格を公示するとともに、各種の公的土地評価について、相互の均衡・適正化がはかられるよう努めるべきことが定められています。

公的土地評価の最も基本となるものとして、地価公示及び地価調査があります。地価公示は、毎年1月1日を基準日として国土交通省が定めた標準地の価格を3月に公表します。また地価調査は、毎年7月1日を基準日として各都道府県が定めた基準地の価格を9月に公表します。

これらの地価公示、地価調査価格は、一般の土地取引及び公共事業用地の取得等の指標として活用されています。一方、課税のための評価については、土地基本法に基づく閣議決定(総合土地政策推進要綱)において、「土地の相続税評価については、地価公示価格を基準として評定する」、「固定資産税評価について、相続税評価との均衡にも配慮しつつ、地価公示価格の一定割合を目標に、その均衡化・適正化を推進する」旨が定められました。

このため、現在では、相続税評価(路線価)は、地価公示価格水準の8割程度を目安に、行われることが多い模様です。不動産鑑定士は、これらの公的土地評価に参画することを通じて、適正な地価体系及び公的土地評価相互の均衡化の実現に務めております。

Q 路線価と固定資産税と時価はどう違うの?

皆さんがよく耳にする土地の価格にはいくつかの種類があります。それぞれの価格には次のような性格の差があります。

種類 発表者 目的 利用方法 価格時点 目安
路線価 国税庁
(税務署)
国税(相続税や贈与税の計算基礎とする) 相続や贈与のために所有者が代わるとき 毎年1月1日 公示価格の80%
固定資産税 各市町村 地方税(所得税が所得に課税するように資産税は保有すること自体に課税)毎年1月1日の所有者に課税 毎年1月1日の所有者に課税 3年に1度の1月1日に評価替え(最近は前年7月1日に見直していることが多い) 公示価格の70%
地価公示 国土庁 取引価格の指標となるように発表 公共団体の取引は必ず規準とする 毎年1月1日 -
時価 (世間)
取引や世評によって成立
- - - -

相続税路線価や固定資産税評価はいずれも行政機関が決定しています。決定するときに担当者が代わったら価格も変わるというのは困りますから原則は全国一律の考え方でできています。その結果、あまり地域的な特性は考慮されないことがあります(特徴の一)

相続税や固定資産税評価の基本は道路に面する標準的な画地の価格です。それぞれの地域間のバランスを考えて付けられた平均的、取引の多い土地の価格とも言えます。東京に通勤する人の多い埼玉県南の地域では、平均的なサラリーマンの住む家の敷地は100坪以下でしょう。むしろ、30坪くらいの土地の方が取引総額が手頃になり売りやすい土地となります。言い換えると平均的、標準的な土地の価格で表示されているのですから、標準的とは言えない土地の価格は安くなり、相続税や固定資産税評価額では売れない事もあり得ます。地積の大きな土地、道路に面していない土地、形状が悪く使いにくい土地、崖地を含む土地、---誰もが欲しがらないような、人気のない土地は安くなるのが経済原則です。

一方、相続税評価等では、あまり個別性を見ません。隣り合った土地は少しぐらい違っていても同じ価格になることが多いのです。そのため、個別的に劣る土地が市場実勢では売れないのに、相続税評価では比較的高い額を提示されることがあります。

評価について疑問があるときは、税理士さんと共に、不動産鑑定士にも相談してみてください。税務署でも、個別的に問題があって評価がおかしいと客観的に認められるときは、鑑定評価額を採用して計算をし直してくれることになっています。どうぞ、お気軽にご相談ください。

その他、アドバイスなど

Q 我が家には、長さの単位が「間(けん、)」で表示されている古い測量図があるのですが、正確な「メ-トル」単位に換算するにはどうすればよいでしょうか。

1間(けん)は1.82mとして換算するのが一般的です。現在の地積測量図は「メ-トル」単位で表示されていますが、ご質問のように古い地積測量図は「間(けん)」で表示されていることがあります。たとえば3.7kといった具合です。このようなとき、正確な「m」単位の長さに換算したい場合は、表示されている「間(けん)」を0.55という数で割り算してください。なぜ0.55なのかといいますと、間(けん)とメ-トルの一致する長さが11間と20mだからです。つまり11間÷20m=0.55ということです。

例 3.7k=6.72m(3.7k÷0.55、小数点第3位以下切捨の場合)

ちなみに、代表的な面積の単位に「㎡」と「坪」がありますが、面積は長さの二乗ですから、11間の二乗=20mの二乗、すなわち121坪=400㎡の関係が成り立ちます。つまり121÷400=0.3025となりますから、「㎡」を「坪」に換算したい場合は㎡に0.3025を乗じ、逆に「坪」を「㎡」に換算したい場合は0.3025で割り算すれば、正確な数値が得られます。

例 500㎡=151.25坪(500㎡×0.3025)、 75.5坪=249.58㎡(75.5坪÷0.3025)

Q 建物は建築された時期によって地震に対する強さが違うと聞きましたが、本当でしょうか。

御質問にある地震に対する強さは通常「耐震性」と呼ばれています。建物についての基本法である建築基準法には耐震性についての規定がありますが、昭和56年を境に大きく改正されています。新耐震基準という表現が度々マスコミで聞かれますが、これは昭和56年以降の耐震規定を指しています。

これに対し、昭和56年より前の規定を旧耐震基準と呼ぶこともあります。両基準とも、しばしば起こる中小地震(震度5弱、80~100ガル)に対して建物の被害を殆ど生じさせないことを目標としている点に変わりはありませんが、新耐震基準ではさらに、百年に一回起きるかどうかという大地震(震度6強、300~400ガル)に対して建物が倒壊しないことが目標に加わっています。

平成7年に発生した阪神淡路大震災では倒壊及び重大な損傷の生じた建物の内、旧耐震基準に基づいたものが比較的多かったと言われており、建築時期による耐震性が注目されるようになりました。

これを契機として、耐震性に劣る既存不適格建築物については耐震診断及び耐震改修の努力義務を定めた耐震改修促進法が制定されました。さらに平成18年4月以降は耐震改修促進法に従って行われた耐震診断がある場合は、不動産取引に当たり重要事項説明書に記載して説明することが必要となりました。今後耐震性は建物の市場性に極めて大きな影響を与えるものと思われます。

Q 土壌汚染の有無を調べるにはどうすれば良いでしょうか?

結論から言えば、ある土地の土壌汚染の有無等を知るためには、専門機関の詳細な調査が必要ですが、相応の費用と時間がかかります。しかし、土壌汚染の「可能性」の有無の調査であれば、一般の方にもできることがいくつかあります。

①法務局で土地又は建物の閉鎖登記簿等を取得し、その不動産の所有者履歴を調べます。所有者名に㈱○○機械工業とか△△洗浄化学(株)のような名前が出てこないか確認して下さい。勿論、かつて有害物質が使用されていたとしても、適正に管理されていれば土壌は汚染されません。一般的には、機械・化学工場、ガソリンスタンド、クリーニング店の跡地等は注意を要すると言われています。
②県立図書館等で古い住宅地図から対象土地とその周辺の利用履歴を調べます。その他、
③古くからの地元住民に聞いてみたり、
④現地で油染みや異臭が無いか等を確認したり、
⑤行政の担当窓口で有害物質を使用している施設が現在又は過去に存在していないか確認することもできます。
なお、私たちが鑑定評価を行う際には、原則として全ての不動産についてこのような調査を行っております。

Q 地主から底地を買い取って欲しいと言われたが、この場合の評価額は?

1.借地人が底地を買う場合の価格
借地人がその底地を買うと、その土地の完全所有権者になり、その土地を完全所有権者としていつでも売却できるし、担保に提供することもできます。このようなメリットがあるため、借地人以外の第3者が底地を買う価格より高めになります。 相続税財産評価基準(路線価)の借地権割合やその補数の底地割合が参考になりますが、詳しくはお近くの不動産鑑定士にご相談下さい。

2.借地人以外の第3者が底地を買う場合の価格
借地人以外の第3者が底地を買うと、次の利益が得られます。

1.地代から固定資産税等を差し引いた純地代
2.将来見込まれる更新料・増改築承諾料等
3.借地権が返還される可能性

しかしながら借地人以外の第3者が底地を買う価格は、実際には安めの地代が多いこと、地代の値上げや更新料等は借地人との交渉が必要となること、借地が返還される可能性は低いこと等から、前記1の価格より低くなるケースが多い様です。

Q 最近、市街化調整区域内で家を建てやすくなったと聞きましたが、簡単に教えて下さい。

市街化調整区域(以下調区という)は市街化を抑制すべき区域で、開発行為及び建築物の立地が制限されています。しかしH12年の都市計画法(以下法という)改正により既存宅地制度が廃止されました。現在では、埼玉県内の多くの市町村の調区に法第34条の11号及び12号に基づいた県(市町村)条例による区域が設けられ、各自治体ごとに一定の要件を満たした土地であれば戸建住宅等の建設を目的とした開発行為が可能です。

開発の規制を緩和している自治体もあれば、実質的に既存宅地制度相当を踏襲している自治体もあります。詳しくは最寄りの建築安全センター又は各市町村の担当窓口(都市計画課等)にお問合せ下さい。

Q 上空に高圧線が走っている土地を紹介されましたが、この土地を購入して利用する場合、どのようなことに注意したらよいでしょうか。

一般に高圧線とは、電気設備に関する技術基準を定める省令による特別高圧の電線を言いますが、この送電線下の土地については建築に際して制限を受けることがあります。送電線の電圧によって制限の内容が異なりますが、17万Vを超える場合はその真下や一定の水平距離の範囲内には建物を建てることができません。

17万V以下の場合は、電圧に応じて離隔距離(3~5.1m以上)が定められており、その範囲内での建築ができません。つまり、離隔距離を保つことによって送電線の真下にも建物を建てることはできますが、建築可能な建物の高さは実際の送電線の位置によって異なってきます(送電線のたるみ等も考量)。近くの送電線支持鉄塔には電気事業者の連絡先が掲示されていますので、電圧や離隔距離、電線の位置などを確認することが必要です。また、地役権や登記簿に記載されていない債権契約が設定されているケースもありますので、登記簿を確認すると共に売主等に契約内容を確認する必要もあります。なお、このような制限は建物のみでなく、工作物や植物についてもそれぞれ規定がありますので注意を要します。

Q REIT(不動産投資信託・リート)について教えてください。

REIT(Real Estate Investment Trust)は米国で1960年代に誕生し、1990年代に発達した不動産の証券化商品で、投資家から集めた資金をオフィスビル・商業施設・住居等の不動産で運用し、そこから得られる賃貸収益や売却益を配当として投資家に分配する金融商品です。

日本においても「J-REIT」として2001年9月に2銘柄が東京証券取引所に上場されて以来、2007年5月に42銘柄、時価総額は7兆円近くにまで達し活況を呈しましたが、リーマン・ショックに端を発した金融危機により、リート市場はしばらく低迷を余儀なくされました。近年は日銀の金融緩和により回復しており、2014年11月に48銘柄、時価総額は10兆円を突破しています。

主に配当を目的としたミドルリスク・ミドルリターンの商品として、金融機関をはじめ個人投資家も分散投資目的に購入しています。J-REITは法人税が課税されないため、配当利回りの高さが魅力となっており、2015年7月現在で3%台が中心となっていいます。

なお、J-REITが物件を取得するに当たっては、適正な市場価値で売買することが望まれるため、不動産鑑定士による鑑定評価が義務付けられております。 注意すべきは、投資信託であるため株式同様元本割れのリスクがある点と、分配金や分配金利回りの高さだけで投資銘柄を決めるのは避けるべき点です。

Q 高利回りの投資用賃貸不動産広告が目につきます。預貯金・国債等の利回りとの違いを教えてください。

不動産広告に記載されている利回りは初年度の賃料等収入の不動産の販売価格(又は販売価格に不動産取得税、印紙税、登録免許税、不動産仲介手数料等を加算した投資額)に対する割合で一般的に粗利回りといわれるものです。

従って、上記収入から下記①の費用を控除して求めた収益に対応する純賃料利回りの方がより預貯金・国債等の利回りに類似するものといえます。有期不動産投資の場合、収入は各期の収入と転売価格、費用は①賃貸期間中は維持・管理費、修繕費、固定資産税、都市計画税、損害保険料等 ②転売時は印紙税、仲介手数料等で、収入から費用を控除して各期の純収益を求めます。

しかし、この純収益は賃料水準、入居率、大規模修繕、特に転売価格によって大きく変動し、投資期間満了時まで利回りは確定しません。粗利回りや純賃料利回りは初年度の収益又は純収益に対応するものであり、投資の判断基準としてこれらの利回りを利用する場合は、インカムゲインだけでなくキャピタルゲイン(ロス)の十分な検討が必要になります。

Q バブル崩壊以前にも大きな地価変動が、過去にあったのですか?

平成22年埼玉県地価調査によると、現在の埼玉県の地価は、平成3年のピ-ク時に比べて住宅地は約4割で昭和58年頃の水準、商業地は約2割で、昭和56年頃の水準となっています。バブルを含む過去の地価高騰は、昭和30年以降で、三度発生しています。(財)日本不動産研究所調べの市街地価格指数によると、昭和30年代半ばから高度成長を背景に工業地の高騰が目立ち、昭和30年代を通じて、全国工業地の指数は、約9倍、全国商業地・住宅地の指数は、約7倍になりました。二度目は、昭和40年代終わりで、大都市への人口集中を背景にした住宅地の高騰により、昭和40年代を通じて、全国住宅地の指数は約4倍、全国商業地、工業地も2~3倍になりました。昭和50年代は、初期の石油ショックの影響による下落、半ば以降の大都市圏中心の上昇を経て、全国の地価は、1.4~2倍で、概ね安定的に推移しました。そうして、三度目が60年代から平成初めにかけての地価高騰(バブル)で、全国の地価は約2倍に暴騰しました。その後のバブル崩壊による長期の下落が続いたのち、不動産投資ファンドの資金流入等により、平成18年頃から三大都市圏等で局所的な地価上昇がみられましたが、米国のサブプライムローン問題に端を発した一連の金融危機によって地価は再び下落に転じ、現在に至っています。

Q 隣の土地は、買い取った方が得ですか?

昔から隣の土地は倍でも買っておけと言われてきました。売主や仲介業者は広告費等が節約でき、かつ相場に上乗せ可能なため、先ず隣接地所有者へ買取の申し出をするケースも多くみられます。しかし現今、日本の高度成長が終焉し、この様な土地神話やライフスタイルも急激な変化の過程にあります。とはいえ以下の場合など、隣地買受は所有不動産の市場性を高めるプラスがあります。①通行権のみの無道路地の改良。②袋地、不整形地の改良。③車庫の確保等。この際に世代間ギャップには十分留意する必要があります。親子では住みたい街・場所、戸建・マンション、所有・利用等に差があります。無理して将来のために隣地を購入するより、今の生活を維持、楽しむことも大切ではないでしょうか。

Q 購入しようとしている土地の一部に都市計画道路が予定されているのですが何を注意したらよいでしょうか?

都市計画道路とは将来の都市形成に欠かせない道路として行政庁がその地域の都市計画のなかで将来的に予定している道路のことです。したがって、このような土地に建物を建築する目的で購入する場合にはいくつかの注意すべき点があります。

①都市計画道路が事業として認可されるまでの間は、その道路予定地に建物を建築しようとする場合にその用途や階層、構造等が制限されます。
②都市計画道路が事業として認可された後は、その道路予定地に建物を建築することは原則として出来ないことになります。しかし、その土地を行政庁が買い上げる際には、その時の土地の適正な価格(道路予定地としての建築制限などがないものとしてその土地の適正価格)により補償されることになります。

このように、都市計画道路が購入しようとしている土地のどこに、どの程度予定されているか、事業の時期はいつかなどによりその土地の利用方法や土地価格に大きな影響を与えることがありますし、将来の立ち退きも考えなければなりませんので、まずは各市町村の担当窓口でその都市計画の内容を詳しく確認することが重要です。

Q 路地状部分のある敷地(袋地)は、何を注意したらよいでしょうか?

旗竿地とも言われており、旗部分に家が建ち、竿部分が通路・駐車場となります。通路(路地状)部分の長さや幅によっては建築できないこともあります。例えば長さ10m未満の場合、幅は2m必要です。通路部分は建物の敷地面積に含まれますが、幅が狭く、隅切りもなければ、駐車はできません。また将来の分割至難でもあり、人気が落ちるため、早期売却とはいかず、最終的にかなり安くなることが予測されます。最近のミニ戸建分譲地では、袋地を左右並列させて、路地幅4mに見せかけているケースも多くあります。収益用としても、アパートは建築不可(長屋住宅は可)です。もっとも、通路部分の幅が4m以上あればアパート建築可となります。

Q 市街化区域内の土地利用(建物の建築)については、さまざまな用途的制限があると聞きましたが、具体的にはどのようなものでしようか?

土地利用については、土地の合理的・計画的な利用を図ることを目的として、さまざまな行政上の法律によって制限が定められています。まず重要なのが都市計画法に基づく市街化区域・市街化調整区域の区分(いわゆる線引き)です。市街化区域は、市街化を抑えるために設けられた市街化調整区域とは異なり、積極的に開発し、総合的に整備していく区域で、建物の建築は原則自由です。しかしどのような用途の建物でも自由に建築できるわけではなく、地域を細分化し、これに応じた用途制限がなされています。これが用途地域で、都市計画法によって住居系7 種類、商業系2 種類、工業系3 種類の用途地域が定められ、それぞれの用途地域内における建築可能な建物の用途を建築基準法できめ細やかに定めています。これは、一般の個人住宅、病院、学校、店舗、工場等が雑然と入り交じって都市を形成すると、お互いに迷惑し、環境が悪化します。そこで住宅地には住宅地にふさわしいものを許し、工業地帯には産業に支障のあるものは認めないなど地域ごとに建物を合理的に立地させるために定められたものなのです。また用途地域の違いによって、建物の高さ、建ペい率、容積率などの制限も異なりますので、建物を建築する際は、これらのことを土地の所在する市町村の都市計画課などに問い合わせ、しっかり把握しておくことが必要です。

Q 不動産鑑定士による無料相談会というものがあると聞いたのですが、何時、何処でやっているのですか?

(社)埼玉県不動産鑑定士協会で行っている無料相談会には、二種類あります。一つは、毎月第三金曜日に埼玉県不動産鑑定士協会を会場にして行っているもので、これはあらかじめ予約をして頂きます。
二つめは、4月1日の「不動産鑑定評価の日」に因んで、4月、10月の第一土曜日に開催するもので、これは、浦和・大宮・川越・熊谷のうち各回2会場で行っております。これは、予約の必要はありません。日時・場所等は彩の国だより、市町村広報誌等でお知らせします。
不動産のことでお困りの方、お悩みの方、お気軽に不動産鑑定士による無料相談会にお出かけください。(ご不明な点等は、鑑定士協会事務局にお問い合わせください)

●無料相談会詳細はこちら

街頭不動産無料相談会 街頭不動産無料相談会

不動産鑑定評価の日に因んだ不動産無料相談会の模様です

Q 不動産鑑定士の仕事の一部を紹介してください。

不動産鑑定評価基準によれば、「不動産の鑑定評価とは、不動産の経済価値を判定し、 貨幣額をもって表示すること」と定義され、所有権や賃借権等の権利に係る交換対価だ けでなく、用益の対価たる賃料の算定も含まれています。これらの評価を専門的に行う のが、不動産鑑定士の仕事です。

具体的には、民間ではJ-REIT(不動産投資信託)の組成から個人間の取引や相続等に至るまで、幅広く不動産の鑑定評価が利用されています。また、、地価公示法に基づき毎年1月1日に公表される地価公示においても不動産鑑定士が重要な役割を担っており、適正な地価の形成に寄与するとともに、税の適正化の観点からこの公示地価が相続税評価や固定資産税評価の目安として活用されているなど、広く公益に資しています。

Q 鑑定料はいくらぐらいかかりますか?

鑑定評価報酬料は法律では定められておらず、原則自由競争となっておりますが、「不動産の鑑定評価業務に関し請求することのできる報酬の基準(昭和59年4月17日付け国土庁告示第2号)」では業務報酬の算定方式を次のとおり定めています。

  • 業務報酬の算定方法

不動産鑑定業者が不動産の鑑定評価業務に関して請求することのできる報酬は、業務に要した直接人件費、直接間接の経費、技術料、出張旅費等の特別経費及び消費税額に相当する額を合算する方法により算定することを標準とする。

標準業務内容は、次の1から8までに掲げる業務とする。

  1. 依頼受付及び鑑定評価の基本的事項の確定
  2. 鑑定評価の作業に係る処理計算の策定
  3. 対象不動産の物的確認及び権利の態様の確認
  4. 鑑定評価に必要な資料の収集及び整理
  5. 収集された資料の検討及び対象不動産についての価格形成要因の分析
  6. 鑑定評価方式の適用
  7. 試算価格又は試算賃料の調整及び鑑定評価額の決定
  8. 鑑定評価書の作成及び依頼者への交付

なお、具体的な報酬額については、評価額、不動産の類型等により異なります。
詳細については、各不動産鑑定業者へご相談ください。